第543話右大臣橘家の宴歌七首(3)

秋の野の 尾花が末を 押しなべて 来しくも著く 逢へる君かも

                        (巻8-1577)

今朝鳴きて 行きし雁が音 寒みかも この野の浅茅 色づきにける

                        (巻8-1578)

右の二首は、阿部朝臣虫麻呂

※阿部朝臣虫麻呂:大伴坂上郎女のいとこ。


秋の野の尾花の穂先を押しなびかせてやって来たかいがありまして、あなた様のお目にかかることができました。


今朝鳴きながら飛んで行った雁の声が、実に寒々としておりました。

やはりこの季節、野の浅茅までもが、見事に色づいてまいりました。


橘家の宴会に出席した喜びを、さらに改めて歌う。

古代の、日本の秋の原風景とも言える描写も、特に二首目は優れていると思う。

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