第509話隠りのみ 居ればいぶせみ 慰むと

大伴家持の晩蝉(ひぐらし)の歌一首


隠りのみ 居ればいぶせみ 慰むと 出で立ち聞けば 来鳴くひぐらし

                          (巻8-1479)


屋敷に引き籠りがちになってしまい、気が滅入ってしまった。

少しでも気晴らしと思って、屋敷から出ると、もうひぐらしが来て鳴いている。


「夏の雑歌」に含まれている歌なので、夕暮れの蝉のこと。

引き籠った事情はわからない。

暑い夏で体調を崩したのかもしれない。

ひぐらしのせつない鳴き声が、家持の弱った心身に、何らかの慰めを与えたことは、間違いがない。


現代に住む人々も、共感することができるような名歌と思う。

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