第469話神奈備の 磐瀬の杜の
鏡王女の歌一首
神奈備の 磐瀬の杜の 呼子鳥 いたくな鳴きそ 我が恋まさる
(巻8-1419)
※神奈備:神の籠る場所。
※磐瀬の杜:奈良県生駒市斑鳩町龍田西南方の車瀬の杜説有り。「杜」は神の依りつく森の意味。樹木が森をなす場所に神が好み、依りつくとされていた。
※呼子鳥:妻を呼ぶ鳥の意味。郭公説、ホトトギス説有り。
神奈備の磐瀬の呼子鳥、そんなに鳴かないで欲しい、私の切ない恋がつのるばかりになってしまいます。
呼子鳥が妻を呼ぶように、私も愛しい君から、声をもっとかけて欲しい。
そんな意味になると思う。
その中で、何故、神奈備の磐瀬の杜を歌に詠んだのか、磐瀬の杜の神にも、自分の想いを聞いて欲しいと思ったのかもしれない。
鏡王女は、系譜未詳。額田王の姉とされている。天智天皇の寵愛を受け、やがて藤原鎌足の正室になった。
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