第458話浦の沙に寄せき

紫の 名高の浦の 真砂地 袖のみ触れて 寝ずかなりなむ

                     (巻7-1392)


※紫の:「名高の浦」の枕詞。紫色は高貴な色とされ、高位の人の服の色に指定された。衣服令では、親王と諸王一位及び臣下一位は「深き紫の衣」、諸王以下二位以下五位以上及び臣下二位三位は「浅き紫の衣」との指定がある。

※名高の浦:和歌山県海南市名高の海岸。

※真砂地(まなごつち):同音の「愛子(まなこ)」を意味している。


名高の浦の真砂に、袖だけが触れて、寝ることもなく終わってしまうのだろうか。


素晴らしく可愛らしい女の子と、「袖のみ触れる」、つまり言葉だけは交わしたけれど、共寝には難しいと嘆く。


宴会時で、若い遊女を見た時の、戯れのような歌に思える。

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