第444話月に寄せき(3)

闇の夜は 苦しきものを いつしかと 我が待つ月を 早も照らぬか

                         (巻7-1374)

朝霜の 消やすき命 誰がために 千年もがもと 我が思はなくに

                         (巻7-1375)


闇の夜は苦しくてなりません。

いつになるかと待ち続けている月が、少しでも早く暗闇を照らして欲しくて。


朝霜のようにすぐに消えてしまうような命なのです。

あなた以外の誰のために、千年とも思うくらい生きていたいと思うのでしょうか。



両方とも同じ場で、女性が詠んだ歌とされている。

闇の夜の歌は、少しでも早くと、男の訪れを待ち焦がれる想いを詠う。

朝霜の歌は、待つ苦しみの中で、男を待つ女の心を詠う。


いずれにしても、わかりやすく、心に響く歌と思う。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る