第430話草に寄せき(1)
冬こもり 春の大野を 焼く人は 焼き足らねかも 我が心焼く
(巻7-1336)
※冬こもり:春の枕詞。冬には命が籠り、春にはその命が張る、の意味を持つ。
春の原野を焼いているあの人は、焼き足らないのでしょう。
私の心も焼いているのです。
野焼きをする人は、おそらく愛しい彼。
燃え上がる火を見ながら、私の心も貴方に燃え上がりますと、強い恋心を詠む。
好きで好きで仕方がない彼を見つめる、若い娘の歌だろうか。
明るく活発な感じが、漂っている。
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