第271話梅花の歌三十二首 (4)
春されば 木末隠りて うぐひすそ 鳴きて去ぬなる 梅が下枝に
少典氏若麻呂 (巻5-827)
人ごとに 折りかざしつつ 遊べども いやめづらしき 梅の花かも
大判事丹氏麻呂 (巻5-828)
梅の花 咲きて散りなば 桜花 継ぎて咲くべく なりにてあらずや
薬師張氏福子 (巻5-829)
万代に 年は来経とも 梅の花 絶ゆることなく 咲きわたるべし
筑前介佐氏子首 (巻5-830)
春になりましたので、鴬は梅の梢に隠れて鳴くようです、今は梅の下枝に鳴きながら移りました。
いろんな人が梅を手折って髪に挿して楽しんでいるようですね、実に素晴らしい梅だからなのでしょう。
梅の花が咲いて散ってしまえば、桜の花が続くようになっているのですね。
永遠に、毎年、梅の花は絶えることなく、咲き続けることでしょう。
一首目は、山口若麿の作。
鴬が鳴きながら梅の花を飛び歩く、その情景をそのまま詠む。しかし、それこそが素晴らしい春の情緒になる。
二首目は、未詳。丹比氏との説のみ。
人の髪にさした梅の花、そして満開の梅の花、見飽きない梅の花を愛で、褒め称える。
三首目は、医師張副子の作。
梅の花が終われば、次は桜の出番。そして楽しい宴会をまた続けましょうとの意を詠う。
四首目は、筑前国府の次官、佐伯子首の作。
永遠に、毎年、梅が咲き続けるべき、そしてこの宴の主人の栄華も長く絶えないという、典型的な宴会歌。
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