ちょーうん! 2-2 

さて、前回ラストに出てきた趙範ちょうはんさん。

別に趙雲ちょううんと親族とかじゃないっす。

一応ここは踏まえといてください。


この趙範さん、兄貴と死別してます。

で、そんな兄貴には奥さんがいました。

樊氏はんしって言うんですけど。


まー、で、この人がまた美人。

これは天下の劉備りゅうび軍に取り入るチャンス、

そう趙範さんも考えたんでしょうね。


樊氏ののちぞえに、ぜひ趙雲を。

そう、申し出てきたっす。


そしたら趙雲、断ります。


「趙範殿、私と貴方は同姓だ。

 となれば、貴方の兄は私の兄。

 どうして兄の嫁など、

 引き受けられようか」


そう、血縁じゃなくても、

姓が同じってだけで、

割とアウトだったっぽいんすね。

この時代の姻戚関係。


ただまぁ、そのへんって割と名目。

なので断固拒否の構えの趙雲に、

なんだかんだで周りもノリノリで

結婚を持ちかけます。


なので、趙雲、観念したんでしょうね――

趙範さんの顔、これ以上立てられないって。


ズバッと言ってます。


「趙範殿は主上に尻尾を

 振りたいだけではないのだろうか?

 無論、その真意など

 測れたものではないが。


 ただ、これだけは言える。

 天下に女性は多くいる。


 様々なリスクを勘案すれば、

 敢えて樊氏を嫁に迎えることには、

 さほど意義を覚えぬのだ」


そう言って、結局突っぱねたっす。


すると趙範、含むところがあったのか、

逃げ出したんすが、

趙雲、そんなんまるで

気にもかけなかったそうっす。




範寡嫂曰樊氏,有國色,範欲以配雲。雲辭曰:「相與同姓,卿兄猶我兄。」固辭不許。時有人勸雲納之,雲曰:「範迫降耳,心未可測;天下女不少。」遂不取。範果逃走,雲無纖介。


範の寡嫂は樊氏と曰い、國色を有し、範は以て雲に配せしめんと欲す。雲は辭して曰く:「相い與に姓の同じきたれば、卿が兄は猶お我が兄なり」と。固く辭せども許さず。時に雲に之を納れたらんと勸める人有りたれば、雲は曰く:「範は迫り降りたるのみ、心は未だ測れるべからず。天下に女、少なからず」と。遂には取らず。範は果して逃走し、雲に纖介無し。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る