ロボット越しの恋人

作者 機人レンジ

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★★★ Excellent!!!

フェイストゥフェイスの時代が終わりを迎える。すべての意識は、何らかの殻を被って社会と接する。自らのコンプレックスに悩まされることもないユートピア。けれども、作者はそのユートピアに潜むであろう悲劇を巧みに描くことで私たちに警鐘を鳴らしている。

それが恋というもの。相手のことを深く知りたいと思ったとき、殻がある故に、誰しもを本当の相手を知りたいという欲求が必ず掻き立てる。たとえ、それが開けてはならないパンドラの箱だったとしても……。

この悲劇はフィクションに過ぎないと安堵すべきではない。未来のノンフィクションである。それも、遠くない未来の。遠隔操作ロボットこそ実現はしていないが、私たちはSNSを通して、部分的に「虚構」の自分で社会と接している。Twitterのタイムラインに流れるアイコンは皆「カノコ」の顔だ。「カノコ」の顔を見て、「カノコ」の声(tweet)を聞いて(見て)、いいねを押す。「カノコ」の素顔も知らないくせに。

私たちが生きているのは、この作品世界への過渡期の時代。来る未来へ向けて私たちに何ができるのか――この問いについて考え尽くすことが、子孫のために課せられた、私たちの使命である。