私の声が届くひと

作者 古池ねじ@木崎夫婦4/13発売

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★★★ Excellent!!!

十一万字が一ページにあるということの迫力。
それを最後まで読ませる筆力。

読み切ったとき、頭の中で言葉がわんわん鳴り響いていました。

ずっと絶え間なく主人公が訴えているように感じる物語でした。
最初は、その叫びの奥に何があるのだろうという興味から読み進めました。

作中、喜びでむず痒くて転げまわり、怒りでのたうちまわり、罠をしかけて今か今かと待っている主人公の姿は、理解できるがゆえに自分と重ね恥ずかしくなり、何度も目をそらしたくなりました。
けれど、最後までブラウザをスクロールする手を止められませんでした。
完全に、物語に絡めとられてしまいました。

自分の大事な宝物を、聖域を、愛しい人を、盗られ汚され、はらわた煮えくりかえる思いで打ち震えたことのある人間にとって、この物語は強烈な共感を覚え、最後は主人公と共に、”あなた”が罠にかかるのを今か今かと待ちかまえることになるでしょう。
あぁ、あなたなんて罠にかかり、息絶えればよいと、願うはず。

なのに、これほどまでに怨念を感じるというのに、強烈なラブレターにも読めてしまうのは……なぜなのでしょう。
とても怖いのに切ない。
割り切れないものを抱えて生きることを、あらためて感じた作品でした。