第五十六話 登場人物一覧
帝国歴二六一年 紅水晶月(一〇月)
戦争処理、銀鉱山開発、それに租税の納入と内政組は目が回る忙しさで仕事をしている。
そんな中、嬉しい知らせが飛び込んできた。
ひゃほーい!! リゼが懐妊したぜ!! せっせと夜のお勤め果たしてた甲斐があった。
すでに前年末に懐妊した、マリーダも臨月が近づき、お腹が大きくなったところでのリゼの懐妊。
旧アルコー家のゆかりの者は、俺の子を孕んだリゼに万歳三唱しまくるというよく分からない喜び方であった。
すでにアルコー家の家臣もアシュレイ領の有力者と縁組した者が増え、領土の同一化政策も一段と弾みを見せて、俺の子が成人する頃には、アルコー家はエルウィン家の一つの血族になっているかもしれない。
ワリドの副官として情報伝達係を拝命している獣人のリュミナスも子が欲しい視線を送ってくる。
いやぁ、モテるって辛いなぁ。夜も一生懸命ガンバりますとも。
目標はサッカーチームができる人数の子供だしね。腰もイケル。嫁も愛人もヤル気。
リュミナス、特製栄養ドリンク準備できるかい? え? 君も?
いやいや、ダメよ。ほらこの前飲んだら、三日くらい腰がガクガクでうごけなかったじゃん。
え? あれは俺が尻尾を弄り倒したからだって?
いやほら、リュミナスも喜んでたし、今回もしようか? え? いらない?
でもせっかくだし、ほらその方が俺も励めるしさ。ねっねっ。
ちょっとだけならいいって? あざーず。
じゃあ、特製栄養ドリンクの準備よろしくー。
俺はリシェールとイレーナとフリン呼んでくるから、みんなの分もよろー。
とまぁ、これから俺はイチャイチャタイムなんで、ここで失敬させてもらいたい。
愛人孝行をしておかないといけないからね。
ああ、そうだ。ここらへんで、登場人物を整理しておこっか。死んだ人も含めてさ。
エルウィン家
アルベルト・フォン・エルウィン 年齢一七歳(現時点) 男 人族
転生者としてアレクサ王国で孤児として育つ。孤児院育ちでは初の神官見習いにまで昇格し、一五歳の年に住んでいた神殿を襲ったエルウィン傭兵団の頭領マリーダ・フォン・エルウィンに連れ去られ神殿襲撃の共犯として犯罪者手配されしまった。
その後、エランシア帝国貴族に復帰したマリーダ・フォン・エルウィンと結婚し、入り婿となるとその研鑽した知識を使い、軍師としてマリーダを助けることになった。
転生前の知識と神殿で得た知識にてエルウィン家の内政、軍事に大きな権限を持ち、特に謀略により国境三城の強奪、アレクサ王国との防衛戦、勇者の剣との戦い、アルカナ領奪取等の戦いで膨大な功績をあげている。
周辺からは『エルウィンの金棒』と恐れられ、アレクサ王国からは懸賞金が莫大な掛けられている。
人前には白色の仮面と赤い衣装を付け出るようになり、同じ格好をした影武者が数名存在すると囁かれている。
嫁と愛人五人(マリーダ・リシェール・イレーナ・リゼ・フリン・リュミナス)と子二人の家族持ち。
マリーダ・フォン・エルウィン 年齢二〇歳(現時点) 女 鬼人族
エルウィン家の現当主。現魔王の乳兄妹であったが、見合いの相手が気に入らないと半殺しにしたことで、一度当主を首になり追放されている。
エルウィン家追放後アレクサ王国で、自分に従ったエルウィン家の戦士たちを率い傭兵団を運営していたが、神童の噂のあったアルベルトの居た神殿を襲うと彼を連れ去る。
自らにない知恵と知識と性技を持ったアルベルトを気に入り、自らの婿として取り込むと、軍師として迎え入れる。
その後はアルベルトの示す軍略に従い、手土産を献上しエランシア帝国に復帰するとエルウィン家の当主に返り咲く。
男女ともに美男美女に目がないが、男の方はアルベルトと出会った後は一筋となったが、女性の方は相変わらず好みの者を周辺に侍らせる癖が直らない。
叔父であり、追放後、当主をしていたブレストとは、お互いに武勇は認め合っている。
鮮血鬼や鬼姫と呼ばれ、戦場暮らしで体得した剣術により身の丈よりも長い大剣を振り回し、敵中に突撃したり、砦の城門を斬り飛ばすといった人外の強さを誇る女戦士。
魔王陛下の乳兄妹であり、女男爵であった爵位は現在女子爵にまで上がっている。
アシュレイ、スラト、アルカナと三領を有する貴族家となった。
現在、アルベルトの子を身籠っており、年末には出産予定。
ブレスト・フォン・エルウィン 年齢四三歳(現時点) 男 鬼人族
マリーダの叔父。兄の子であるマリーダの不行跡後に魔王より当主代行を言い渡された。マリーダが浪人時代、彼女を慕ってアレクサ王国に行く一族の者たちを止めず、しばらくエルウィン家を嫌々切り盛りしていた。
国境の城三つ献上した手柄を挙げたマリーダが帰参すると、もろ手を挙げて喜び当主を返上すると自らは家老職に収まり、内政をアルベルトに放り投げた。
良くも悪くも脳筋一族である鬼人族の男であり、武勇には優れているが、それ以外のことはからきしダメなので、アルベルトの内政官就任に積極的な支持を打ち出した。
武勇はマリーダと同じくらいを誇り、大きな槍を振り回し敵兵をなぎ倒す『紅槍鬼』として周辺に知れ渡っている。
子は嫡男ラトール一人。嫁フレイとは今も熱々の仲である。
フレイ・フォン・エルウィン 年齢四〇歳(現時点) 女 鬼人族
ブレストの妻でラトールの母。
一児の母であるが、容姿に衰えはなく、旦那であるブレストとの仲は良好であった。
ただ、最近の悩みはブレストとラトールの喧嘩が日常化していることである。
ラトール・フォン・エルウィン 年齢一七歳(現時点) 男 鬼人族
ブレストの嫡男。父親の性格を受け継ぎ、いくさにて武功を上げることに血道をあげる男。
アルベルトのもとで戦った初陣では、騎兵隊を率いて敗走した領主連合軍を猟犬の如く追い立てる手腕を見せた。
個人戦闘をしたがるエルウィン家の面子の中では唯一指揮が取れるとアルベルトが見込んだ男で、今は一部隊を率いる将として経験を積んでいる最中。
ただ、父ブレストとの喧嘩が日常化しており、備品が日々壊れていく。
ベイルリア家
ステファン・フォン・ベイルリア 年齢三〇歳(現時点) 男 九尾族
マリーダの義兄で、現魔王のお気に入り直臣。下級貴族家だったが、皇帝就任の際の働きを認められ直臣となる。
知恵が回り、機知に富む男で現在は対アレクサ王国方面の国境警備を担当している。爵位は伯爵であり、最前線を支える中堅領主。
義妹のマリーダの婿となったアルベルトの軍略を買っており、友好的な関係を築いている。
ライア・フォン・ベイルリア 年齢二六歳(現時点) 女 鬼人族
マリーダの姉。やんちゃで戦場育ちのマリーダとは違い城内で育てられた大人しい女性。
優しい性格で巨乳であり、戦場育ちのマリーダが女好きになった遠因となった人疑惑がある。
エルウィン家先代当主と、ベイルリア家の間で取り交わされた許嫁としてステファンに輿入れする。
その後はステファンの嫁としてエルウィン家とベイルリア家の架け橋となった。
アルコー家
リゼ・フォン・アルコー 年齢二〇歳(現時点) 女 人族
アルコー家当主。直系の血筋が絶えたため、やむなく男装してアレクサ王国軍の侵攻部隊に参戦していたが、マリーダによって生け捕りされる。
家が提示した身代金が払えないほどの小領主であり、その身をアルベルトの嫁とされ、領地は戦利品としてエルウィン家の保護領とされてしまう。
幼少より男子として育てられたため、男言葉を使うが、ベッドの中ではきちんと女の子であり、めでたくアルベルトの子を宿す。
領民からも愛されている領主であり、知恵者であるアルベルトの子をアルコー家の次代当主にする気でいる。
お飾りではあるが領主として兵を率いることもあるし、エルウィン家の面々が出撃した後に留守居役を任される将でもあった。
マリーダのことをお姉様と慕い、公私ともに仲が良い。
ミラー 年齢三二歳 男 人族
勇者の剣の縁者を庇った父親を追放し、新たな村長に就任した男。
決断力、判断力に優れ、視野も広いため、アルベルトが領地を下賜された際、彼の村を指定し、自らの部下として採用する。
アルカナ城攻略のいかさま戦争では、農兵を率い見事な指揮を見せたり、アレクサ王国侵攻戦ではエランシア帝国主力軍の先導役として勝利に貢献し、魔王陛下から褒詞を賜る。
この結果、アルコー家の家老筋の娘を嫁に迎えることになり、アルベルトとリゼの子の守役となることが内定している。
シュゲモリ―家
クライスト・フォン・シュゲモリー 年齢二三歳 男 魔人族
エランシア帝国第一〇代魔王。皇家の一つである南の守護者シュゲモリー家の当主だった男。先帝崩御の後に行われた皇帝選挙に勝利し、第一〇代の眞魔帝国皇帝に就任する。
四皇四大公制による皇帝権力の不安定さを嫌っており、有能な者を直臣として採用している。
皇帝就任後は、苛烈な物言いと態度で貴族たちをまとめ上げ、周囲に敵を抱えた眞魔帝国を切り盛りしている男。
アレクサ王国侵攻戦で見せた電撃的な進軍で、非凡な采配能力があることを周囲に見せつけることに成功した。
山の民
ワリド・ゴシュート 年齢四三歳 男 獣人族
ゴシュート族長。勇者の剣の説教師を叩き出したことで、山の民から敵視され、窮したところをアルコー家との繋がりでアルベルトの助けを借りる。
その後、勇者の剣を掃討する際には謀略の手伝いをしてアルベルトの個人的家臣として情報組織を作ると、縦横無尽の活躍をする。
討伐後、山の民の筆頭族長としてワリハラ族長ともに就任したが、情報組織の長としての活動の方が多い。
リュミナス・ゴシュート 年齢一九歳(現時点) 女 獣人族
ワリドの一族の者。アルベルトとワリドとの絆を繋ぐために贈られた女性。
アルベルトとワリドの連絡役兼秘書を務める。
四人目の愛人として、全員から可愛がられている。獣人であるため動物の耳と尻尾を持つ亜人姿をしているのが、可愛がられている理由らしい。
アルカナ衆
ニコラス・ブラフ 年齢四〇歳(現時点) 男 人族
アルカナ領の地元の有力者。人柄、人望、気配りができ、各村間で孤立しがちなアルカナ領で顔が利く男。
領主であるリヒトと意見が対立し、内応を疑われたことで、アルベルトの提示したいかさま戦争に参加し、エルウィン家に降伏する。
降伏後はアルカナ領総代官兼戦士長としてエルウィン家の家臣となる。
アルベルトの内政団
イレーナ 年齢二三歳(現時点) 女 人族
アルベルトが文官採用募集した際に応募してきた商業組合長ラインベールの娘。
計算や帳簿在庫管理に偉才を発揮している。
アルベルトの労働時間の縮減に大きく寄与している女性文官。
現在小者頭を務めている。
ミレビス 四十代 男 人族
四十代の小太りな頭ツルテカおじさん。農村の代表に雇われてエルウィン家の徴税を代行していた男。
アルベルトによって文官として採用され、
文官不足のエルウィン家ではアルベルトの秘書官となったイレーナとコンビを組んで、数字と格闘している。
ラインベール 五十代 男 人族
イレーナの父でアシュレイ城下の商人組合長をしているが、アルベルトによって半ば強制的に文官として採用された。
エルウィン領内の物資の動きや、住民や商人からの陳情受付、各地の相場情報チェック、商人たちからの噂の収集など表の情報収集を担当している。
大工衆
レイモア 四十代 男 人族
エルウィン領内にいる大工のまとめ役をしている男。大規模な堤防作りや街道づくりなどを村長たちから依頼されて作ってきた。
エルウィン家から請け負った堤防工事でその腕を振るっていたところをアルベルトによって見出され家臣として採用されることとなった。
彼の率いる大工衆は総勢一〇〇〇名にのぼる。
愛人
リシェール 一九歳 女 人族
マリーダが傭兵団の潜伏先にしていた街から人身御供として差し出された少女。マリーダが当主復帰後はメイド長となり身辺の世話を行っている。
アルベルトによってマリーダの弱点を見つけたことで、夜の奉仕では立場が逆転していた。
とはいえ、マリーダもリシェールのことは気に入っており、いくさにも身の回りの世話をさせるため帯同させている。
頭こそあまり良くないが、物事の本質を見抜く力が強く、戦陣おけるアルベルトの善き相談役でもある。
フリン 二一歳 女 兎人族
元アレクサ王国の流民で開拓村にいたところをマリーダに見いだされ女官として出仕することとなった。
マリーダのお気に入り女官としてリゼとともに良く呼び出されて色々とされているが、本人もマリーダのことを慕っている。
開拓村に手厚い支援を行ってくれたアルベルトにも感謝しており、一生懸命に身の回りの世話に励んでいる。
最近では懐妊したマリーダの子の乳母となることが決定している。
死んだ人
リヒト・フォン・エラクシュ
先々代の皇帝の血筋。元エランシア帝国伯爵位。クライストの皇帝就任反対運動を扇動し、皇帝選挙に大番狂わせを起こしかけた男。
一歩及ばず衰退した皇家の者が負けると、領地ごとアレクサ王国に寝返り、対エランシア帝国の最前線に立つ。
アルベルトの謀略により内応者が出て、籠城するも囚われ、魔王の下に送られ処刑された。
『勇者の剣』の金ぴか勇者
アレクサ王国にてユーテルの信徒団体『勇者の剣』を設立し、大いに広げた詐欺師。
アルベルトの謀略により、アレクサ王国の宗教界から追放され、信徒の多かった山の民の砦に逃げ込むも、エルウィン家に攻め込まれ討ち取られる。
ふぅ、いやぁ、スッキリしました。え? 自分だけズルいって。そりゃあ、嫁と愛人ですから人様には見せられませんよ。
そんなことよりも、ちゃんと読みました?
うちも大所帯になったんで、確認しとかないとこんがらがってしまいそうです。はい。
さて、ひと汗流したことだし、水浴びしてくるかな。
もうじきマリーダと俺の子も産まれるし、良い新年を迎えられそうだ。
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