第92話 かいこう

軟弱な有刺鉄線を弾き返し

 両者啼く蹴堕として

 押し開かんとする私と

  まるで巨像の様に

 華を伸ばし寄り掛かる

 あゝ  美しき夜の蝶よ

 常々明晩の帳は開かれる

    夜想曲

  円卓に光は満ち

 薄闇に漆黒の脱衣所

シーツは仄か甘く薄らわらい

  薄情に消えてゆく

 あゝ 夜が明ける

   邂逅だ!  

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