第85話【胡蝶~些細】

永久に続く宵初め 

湖面は凪いで

みえもしない橋を探す

幾度も零れないよう

鏡と浮かぶ嘲笑に

瞳を潰される

今宵は揺らめく切っ先

一滴の雫が異常に照れ

水面を掬い取る腕に

雲の月が微笑み

光は刺し違え満ちる

その手平に零れた明朝を

頬の滴の痕の数だけ

今輝き放つ妖蝶は

ふわりと風に融け刻まれる

清浄に心

ほどかれて

はらりとし舞う

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