第74話【ひみつ】


差し出された傘に世界は仄かに朱く

閑散とした路地から更に遮断されて

封をされた世界は壁に張り付いた

背は熱く蒸れて雫は堕ちてゆく

絡みあう指先も若さゆえに固く

小さく震わせる世界は入り日で

感嘆に染まるけど

不意に鳴るクラクションに

喧騒は二人を急かしてゆく

今青い空 朱に染まる

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