家を燃やすとぶち切れキアヌがやってくるぞ……「ジョン・ウィック:チャプター2」

 ――前作で犬殺しの報復としてロシアンマフィアを壊滅させた、最強の殺し屋ジョン・ウィック。そんな彼の前にイタリアのマフィア、サンティーノが現れ彼とかつて交わした「誓印の掟」を理由にジョンに仕事を依頼する。それを断ったジョンだったが、報復として家が爆破されてしまう。やむなくジョンは殺し屋家業に復帰するも口封じのため今度はサンティーノに命を狙われる。かくして世界を股にかけた壮大なジョンのお礼参りが再び幕を明ける――


 史上最強の殺し屋が犬殺しの報復をど派手に行うスタイリッシュアクション、ジョン・ウィックシリーズの続編。前作で犬と車を失ったジョンが、今度は思い出の家をぶっ飛ばされるという最悪な展開から始まる作品だ。

 前作では物語のコクを出していた「コンチネンタル・ホテル」「殺し屋たちの掟やルール」「殺し屋たちの仕事に纏わるサービス・システム」と言った要素が全体的に増えており、どちらかと言うとシリーズの世界観を深める役割を果たしている。弾は通さないけど当たると痛い防弾スーツの仕立て屋、とりあえずオススメの武器を見繕ってくれる武器ソムリエなど、世界観を補強する要素がバリバリ登場する。

 殺し屋たちもグレードアップしており、コモン演じるウィックの知り合いの暗殺者や、ラスボスであるサンティーノの腹心である唖者の女暗殺者、アレスなど、ジョンと死闘を繰り広げるキャラクターが多く登場しているし、力士暗殺者みたいなキワモノモブ暗殺者も登場するのが面白い。


 ただ、後は前作と基本変わらない。今度の命知らず(自殺志願者とも言う)であるラスボスのサンティーノはジョンの家を爆破し、挙句裏社会のトップへ躍り出ようと画策するマフィアのボスであるが、案の定ジョンを激怒させてしまったために部下を次々と失うわ、計画もボロッボロになるわ、映画のラストまで逃げ回る羽目になっており、むしろ前作のロシアンマフィアの方がまだ善戦していたような気さえする。


 アクション面は文句なしで、前作から引き続き磨きのかかったガン・フー(カンフーとガンアクションの融合した武術)が炸裂し、硝煙と銃撃と肉弾戦シンフォニーが美しくアクション映画の新境地に入っていると言っても過言ではない。キアヌの銃裁きも本職のタクティカルシューターと遜色ないキレの良さで、ガンマニアにとっては惚れ惚れするような輝く動きをたくさん拝む事ができる。


 衝撃のラストと、今後の波乱を予期させる終わりと共に続編「ジョン・ウィック パラベラム」(ジョン・ウィック:チャプター3)が日本でも公開される予定だ。コンチネンタル・ホテルという世界観とジョン・ウィックのこれからの物語に期待がかかると言えよう。

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