あんなに研究所ガタガタ揺れて大丈夫なの……「アントマン&ワスプ」

 ――自在に身長を操れるヒーロー、アントマンとなった元泥棒のスコットであったが、アベンジャーズの内乱に参加し、国連がヒーローを管理するソコヴィア協定を違反した罪で自宅軟禁中の彼は、アントマンスーツの生みの親であるハンクやその娘のホープと絶縁状態にあった。しかし、スコットが見た奇妙な夢を電話で彼に打ち明けた事から、スコットは騒動に巻き込まれていく――


 アリのサイズまで縮小できるヒーロー、アントマンの続編であるマーベルシネマティックユニバース(MCU)作品。主演のポール・ラッド、監督のペイトン・リードをはじめ主要キャストやスタッフが続投してくれたのはありがたい。

 クロスオーバーが多いMCU作品の中でも、事前知識が殆ど無くても理解できた前作に比べて、こちらは「キャプテンアメリカ:シビルウォー」の予備知識がちょっとだけ必要になっている。


 映画のストーリーだが、前作が主人公スコットが父親として再生の道を歩む話とするならば、今作は前作のサイドキックであったハンク親子の家族再生物語に仕上がっている。前作の回想で核ミサイルを打ち落とすべく量子世界に囚われてしまった妻を救うために奔走するハンクと、それを支えるジャネットの奮闘を、今作はスコットが支援していくという筋立てになっている。


 前作から引き続き続投しているキャストも多く、裏家業から足を洗い警備会社を始めたいつものスコットの友人トリオや、別れた元妻と再婚相手(こいつ良いヤツなんですよ)、そして最愛の娘という御馴染みのキャラも出てくるので続編としてものすごい安心感があるし、そいつらのその後を微笑ましく見守れる作品だ。


 ユーモアとアクションを融合させたパートは前作から引き続き秀逸で、今作では動作が不安定な最新型のスーツのせいで巨大化したり中途半端に縮小化してしまうスコットの身体を張ったギャグじみたアクションや、縮小や拡大可能な車を使ったカーチェイスシーンなども見所だったし、物体をすり抜ける強大な敵を相手にするバトル、そしてハンクの研究所を巡る壮大な争奪戦なども盛り込まれ、前作の縮小アクションに拡大要素もブチ込んでさらに発展させていて好感が持てる。


 また、今作ではハンクたちの研究を付けねらい、犯罪組織と、物体をすり抜ける新たな敵・ゴーストの三つ巴の争奪戦が繰り広げられ、話が盛大にとっ散らかない程度に盛り上げていたし、続編として安定感たっぷりの満足できる1本だ。

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