第49話 うさぎ狩
普通に家に来てくださいのお誘いをして来てくれる人ではない。
野郎どもを追い出している私が療養中の離れにはシスターとして治療に来てくれたが、オスカーが来ていることはバレているだろうし、そんなにホイホイ来てくてくれないだろう。
私の設定を殺さない程度のワガママで、シスターであれば断れないものを考えないといけない。
「フローラさま」
「アン、なにかあった?」
「いえ……なにか考えていらっしゃるようでしたから」
怪我したこともあって、アンにも、すぐ側の本邸にいるにも関わらず手紙を送ってくるレオンにも心配をかけてしまっている。
レオンは私のことを心配していることも伝わるが、私が倒れたあとの近況もしっかり記載してあって、優秀な官僚になりそうだ。
ん?心配?
なるほどね、いいこと思いついた。
「アン、明日には動けると思うから、明日本邸で晩餐を開けないかしら。今回、色々と心配をかけたと思うの。
関係する人たちを呼んで、ご飯を一緒に食べて、お礼を言いたいわ」
少しこのお屋敷の使用人には負担をかけるが、そもそもこのお屋敷で雇っていた傭兵があのザマである。
謝罪は主君である祖父から貰ってもらおう。
「お手紙でも書こうかしら。それに回復の術について、シスターにお聞きしたいわ」
「病み上がりなので、賛同しかねるのですが」
ペン先にインクをつけて走らせはじめた私をアンが渋い顔でこちらを見ている。
お屋敷の中で大々的に狙ってくるドアホがいるなら、その場で騎士に取り押さえられて、オスカーに回復術をかけられてお終いだ。
今回わざわざシスター、ルイーゼが呼ばれたのはオスカーも負傷していたのと、私の怪我の箇所が子どもとはいえ、異性に見せるべき場所ではなかったからだ。左腕の火傷だけでなく、背中にも打撲があるらしい。
毒ぐらいならオスカーがいれば死にはしない。
「アン、無理を言って悪いのだけど」
「わかりました。オスカーさまにお伝えします」
「ありがとう」
既に書き終えたルイーズへの招待状、レオンへの手紙の返事をアンに預けて、部屋をでていく彼女を見送った。
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