ドア

作者 佑佳

あなたは、あなたの大事な人のそばにいますか?

  • ★★★ Excellent!!!

誰かを、ずっと前から捜している気がする──。

ふと、こんな思いを抱いたことはないでしょうか。本作の一貫したテーマは、まさしくこの一言に尽きると言っても過言ではないでしょう。

高校生・蘇芳と少女のくぅ、そして黒猫の夜さま。2人と1匹の「ドア」から始まり「ドア」へと繋がれていくストーリー。一見バラバラに見える彼ら個々の「事情」が、全てがやがて一つの壮大な「絆」に集約されていく様は実に圧巻であり見事でした。

一口に、タイムトラベル物、と言ってしまうのはあまりに勿体ない。ミステリー的な要素もあります。ああ、ここでこう繋がってくるのか!という驚きと発見があり、何度も繰返し読み返したい気持ちにさせます。もちろん恋愛要素もアリ。初々しくもあり、清々しくもあり、また、悲しくもある。それが筆者の優しくも儚い文体で色鮮やかに描かれていて、次第に物語の世界へと読み手まで誘っていく。彼らと共に旅をしている気分になっていくのです。

あなたは、あなたの大事な人のそばにいますか?

「ドア」を開ける前にもう一度振り返って、誰かを大切に思う気持ちを思い出す、そんな素敵な作品でした。

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