ドア

作者 佑佳

誰かと出会い、想いを巡らせ、未来へ繋いで作っていく。

  • ★★★ Excellent!!!

 普通の男子高校生——蘇芳が一匹の黒猫を助けるとまさかまさかの時空の狭間へと飛ばされてしまう!元の時代に戻るには『ドア』という時間移動装置をいくつも潜らなければならない!
 そんなハプニングから始まるタイムスリップアドベンチャー。これは面白い。
 わけもわからず時間旅行をする蘇芳ですが、旅で多くの人に出会って彼は別の想いを抱くように変化していきます。
 はてさて彼は無事に自分の時代へ帰り、捜し人に出会えるのでしょうか?

 重大な事件や事柄は早い段階から断片的に語られるのですが、読み進めるたびに謎が解かれていきます。そんなシナリオ構成となっており、全てが明らかになった時「これはこういうことだったのか!」と伏線の回収に驚嘆させられることになるでしょう。
 また重要な要素やシーンは繰り返し繰り返し同じように描写する手法が使われています。謎が明らかになるたびに事件やことの発端を振り返り、よりクリアな光景を読者に見せて理解深める。あえて同じ言葉を使うのが謎のアンロックと相まって見事です。
 そういった丁寧の物語の作りによってタイムスリップもの特有の複雑さはなく、スッと腑に落ちて読みやすい。

「こういうジャンルに興味はあったけど小難しそう」

 そんなあなたに手に取っていただきたい一作です。
 大丈夫。この物語に記されているのは人の想いが巡り巡って未来を作っていく……そんな人間ドラマですから。

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