役に立った創作指南書

 創作指南書?そんなもんは読まん!

 小説は「センス」で書くものなんである!


 ……そんなふうに尖っていた時期が、私にもありました。


 けれどもそんなことを言っていられたのは純文学を書いていた頃まで。

 児童向けを書くようになってから、私は大変大きな壁にぶちあたりました。

「物語」の作り方が、さっぱりわからなかったのです。


 そもそも物語って何? どうやって作ればいいの? みんなどうやって考えているの?


 ……と途方に暮れて、ようやく創作指南書に手を出し始めた私。

 たくさん読みましたが、その中でも印象に残っているもの、読んでおいてよかったと思うもの、今役に立っていると感じるものをいくつか選んでご紹介したいと思います。あまり参考にならないおすすめ度(最高☆5個)つきです。



『ベストセラー小説の書き方』/ディーン・R・クーンツ

 おすすめ度:☆☆☆☆☆


 今更多くを語る必要がないほどの有名な書ですね。読んでいる方も多いのでは。

 これは作家志望者必読の書ではないかなあ、と思います。とても勉強になります。未読の方はぜひ。



『SAVE THE CATの法則』/ブレイク・スナイダー

 おすすめ度:☆☆☆★★


 いわゆる三幕構成を軸とした指南書です。三幕構成をはじめに理論化したシド・フィールドの著作は読んでいないので比べようがないのですが、この本は三幕をさらに独自の15のビートで分けているのが特徴といえると思います。シーンをこのビートで並べていくだけで物語ができあがります。が、「サブプロット」「お楽しみ」は必ずしも必要ではないかな、というのが現時点での感想。第二幕前半のミッドポイントまでに何を書けばいいのかが、この本だけだと少しわかりづらいように感じます。



『アカデミー賞映画で学ぶ映画(シナリオ)の書き方』/新田晴彦

 おすすめ度:☆☆☆☆★


 これはよかった。「劇性の源は障害・葛藤・対立」という考えを軸に、「箱書き」の重要性、台詞の書き方やサスペンスの技法など、名作映画を通して解説してくれる書です。私の場合、取り上げられている映画の中で実際に見たことあるのが「レインマン」だけだったのですが、見たことなくても特に問題なかったです。おすすめ。



『黒魔女さんの小説教室』/石崎洋司

 おすすめ度:☆☆☆☆☆


 青い鳥文庫「黒魔女さんが通る!!」シリーズの著者である石崎洋司さんによる小説指南書です。とても丁寧で優しくわかりやすく、児童書のみならず、小説を書いている人すべてにおすすめできる一冊です。



『「感情」から書く脚本術』/カール・イグレシアス

 おすすめ度:☆☆☆☆★


 これはすごいです。物語を面白くするためのあらゆるテクニックを収めたネタ集のようなものなのですが、ここまで研究してまとめるのは相当な労力が要ったんじゃないでしょうか。ここに挙げられているものを自分がうまく取り入れられるかどうかはまた別問題なのですが、大変参考になったことは事実です。やはり面白い物語というのはそれなりの「技術」が使われているものなのですよ……!



『アウトラインから書く小説再入門』/K・M・ワイランド

 おすすめ度:☆☆☆☆★


 プロットの作り方に関する指南書です。

 私は長らく「プロットを作らずに書く派」でしたが、これを読んで考えが変わりました。書きながら考え、書いた後でマクロな視点でもって構成をし直し、場合によっては半分以上書き直す……という作業プロセスが常だったのですが、プロットを作ることにより、この「考える」「構成する」を執筆の前段階にて行えるようになるのですよ。そしておそらく、「半分以上」書き直すという事態は避けられるのではないかと思います。

 今までは、設定やキャラ、冒頭のシーンやその後の流れなどを思いついたら我慢できずにすぐに書き始めていたのですが、そこをじっと我慢してプロットを立てる、ということをするようになりました。それまでは大枠しか決めていなかったため細部については途中で考えていた執筆が、とてもスムーズに進むようになりました。進む先が見えていると、そのシーンに集中しやすい。結果、いいものが書ける。プロット作らない派の方にはおすすめの一冊です。



『キャラクターからつくる物語創作再入門』/K・M・ワイランド

 おすすめ度:☆☆☆☆☆


 K・M・ワイランドさんの創作指南書第三弾。第一弾の「アウトラインから書く小説再入門」もよかったのですが、私的にはこれがベストワンかも。まさしく知りたかったことが知れる、最高の良書です。

 魅力的な導入部、謎、クライマックス、ひねり、どんでん返し……そうした「面白いストーリー」の要素は満たしているのに、なぜか面白くない。そんな作品に出会ったことはありませんか?

 なぜ面白くないのか。理由はいろいろあると思いますが、そのひとつに「登場人物に命が吹き込まれていない」というものがあると思います。感情移入の対象である主人公が最初から最後まで変化せず、たいした葛藤もせず……これは「物語」とは呼べないのではないでしょうか。

「物語」というのは単なる出来事の羅列ではなく、その中に織り込まれる登場人物の感情や精神的成長を抜きには成り立たないものなのです。この本は、それを改めて認識させてくれました。出会えてよかったです。



 最後に、敬愛する藤子・F・不二雄先生の言葉をご紹介して終わりたいと思います。


「まんがに限らず何か創作する人というのは、絵描きさんでも、作家でも、作曲家でもそうだと思うんですが、自分の中に何か表現したい、自分以外の人に向かって訴えたいものを自分の中に持っているかどうかがいちばん大事なことだと思うんです。」

(『藤子・F・不二雄の発想術』/編・ドラえもんルーム、小学館新書より)


 ……ちなみにF先生は大長編ドラえもんを描く際、結末まで決めずに描き出していたようです。すごい。

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