推敲について
今回は、推敲について、なるべく簡潔に書いていきたいと思います。
【推敲を行う時期について】
推敲は、自身が書き上げた作品を「客観的に」見る必要があります。初見のように読むことができるようになるまで待つのが一番です。できれば半年くらい間を空け、作品の細かいところを忘れた頃がベストでしょう。
でも、公募の締切を考えると、それは難しいですよね。私の場合、実際は書き上げた後一~二週間くらい経ったところで推敲を開始します。その間は他の作品に取り組んだり、本を読んだり、なるべく書いた作品のことを忘れる努力をします。
締め切りに間に合わず、推敲がほとんどできない場合もあります。経験上、その場合は焦って送らず、ゆっくりと推敲をして次の機会に回した方がいいですね。
【方法について】
★プリントアウトして行う
これは作家による創作指南本など数多くの本で言われていることですので、ご存知の方も多いと思います。
カクヨムにいらっしゃるほとんどの方は、パソコンで執筆をしているのではないでしょうか。削除や入れ替えが容易だったり、検索や置換ができるなど、パソコンで執筆をすると、数多くのメリットがあります。
ただ、出来上がった小説を画面上でスクロールして見ていく場合と、紙に印刷して見た場合では、まるで印象が違ってきます。
画面上では気づかなかった誤字や脱字、不自然な表現なども、印刷することで気づく場合が何故か多いです。また、章の長さ、段落の長さなども、紙に印刷してみることで、「ここは他の箇所よりも冗長だ」などと、すぐに気づくことができます。
ただ、私は最近、これをあまりやりません。プリントアウトすると、かなりの紙を消費してしまうので……大体いつも、足りなくなってしまうのです。最近はWEB投稿も増えてきましたが、ちょっと前までは紙に印刷した原稿を送ることが主流でした。そのため、いざというときのために紙を枯渇させないよう、必要以上に神経を使ってしまっていました。普段から紙の残量に気をつけていればいいのですが、何せズボラなもので……。あと、子どもが「絵を描く紙がない」と言うので、そのたびにたくさん与えてしまったり。気づくとなくなっているのです。
これからは、紙代を惜しまず大量購入し、がしがし印刷していこうと思います。
★エクセルなどで全体を見通す
私が現在、主に行っている方法です。書き上がった後ではなく、書いているときからエクセルで専用ファイルを作り、物語の管理をしています。ひとつのファイル内に、以下のような複数のシートを作成します。
・カレンダー
カレンダーは、私の場合、曜日感覚を全く持たずに書いているので、気が付くと「七日間連続で学校に行っている」という現象が起きることが少なくありません。そのため間に土日を挟んでも不自然ではない箇所を決め、日付の欄にその日に起こるエピソードの内容を書き込み、出来事と曜日を結び付けたりしています。必ずしも毎回は使わないシートです。
・キャラクター
登場人物の所属するクラスや部活、住んでいる場所や家族構成など、細かな設定をメモしておくものです。こうした細かな設定は、さらりと書いたまま忘れてしまい、後で矛盾が出てきてしまうことがあるので、早めにメモするようにしています。
・章ごとの概要
推敲するときに一番使用するシートです。
1行目に章番号、章タイトル、概要、詳細、登場人物、謎、伏線、思惑などといった要素を列ごとに配置し、2行目以降に各章の内容を記入していきます。
特に、応募したい賞の規定の字数をオーバーしていて、スリム化する必要がある場合、このシートが役立っています。作品全体を見通す視点を与えてくれ、さらに各章の「役割」が見えてくるので、「ここは不要」「こことここはもっと簡潔にしてくっつけられる」「別の短いエピソードに差し替えよう」などと、スリム化するためにの様々なアイデアが浮かんできます。
また、入れ替える際も、エクセル上で別シートを作り、並べ替えてみたりしています。「冒頭にいきなりこれを持って来たら、後の並びはどうなるだろう?」と簡単に実験できるので、おすすめです。
【削除について】
小説を書き始めた頃、特に純文学を書いている頃は、一度書いた文章を消すなんて、もってのほかだと思っていました。そのときしか出てこない文章、二度と書けない文章かもしれないのに、それを躊躇なく消すなんて、とんでもないことだ、と。
ですが、児童向けのエンタメ小説を書くようになってから、私はこの考えを棄てました。
削除は、推敲という作業の中で欠かせない要素。むしろ、推敲と削除は同義だとすら考えています。
作品の中には、絶対に削ってはならない要素、「骨」があります。物語が進むうえで、核心となる部分です。
そして「骨」の周りには、たくさんのいらない「肉」があります。推敲は、この「肉」を、作品の面白さを損なわないギリギリのところまでそぎ落とす作業です。
私の場合、特にセリフにおいてこの「肉」が多い気がします。書いている間、自分でも登場人物の性格がよくわかっていないため、とにかくしゃべらせることでその性格を把握しようという悪癖があるためです。
書き終われば、性格は十分に把握できているはずです。冒頭からセリフを見返し、よりそのキャラらしいセリフに書き換え、不要な部分は削除する。こうして私は、「肉」をそぎ落としています。
また、物語をどう動かせばいいかわかっていない場合、セリフで無理やり事を起こそうとするという悪癖もあります。この場合、セリフを地の文に置き換えたりすることもあります。
【追加について】
私が文章を追加する場合、以下のような目的の上で行っています。
①リズムを整える
②物語のテーマ、キャラクター、アクションについて、よりわかりやすく伝える
①については、セリフが続きすぎのところに、一呼吸置くように地の文を挿入したり、唐突だと感じる文章の前にクッションのように文章を追加する、といった作業になります。頭の中で音読しながら、自然なリズムになるまで続けます。この作業は、割合好きで、得意です。
②については、そのままです。「ここはもう少し伝わって欲しい」と感じた箇所について、より伝わりやすくなるように文章を加えます。ただし、くどくならないように注意しています。私の場合、削除が終わってから調子に乗って終盤にたくさんの文章を加えてしまう癖があり、結局また削除をするはめになるパターンが多いので、気をつけています。
*
お正月休みは、読書やこの「カクヨム文章読本」の記事を書くことで過ごし、改めて「書くということ」について考えられ、有意義なお休みだったと感じています。
お休みも終わり、また創作の日々に身を投じていくことになります。2019年は、書き上がった小説の推敲で幕を開けます。いかにして骨を残して肉を削ぐか。生まれ変わったような気持ちで、がんばってみたいと思っています。
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