一区切り 3
ボンのところで預かってもらっていた鞄から5百万を出してきて3百万をカオルに2百万を探偵に送金する。さっそく事務所に、
「冷たいね」
とカオルから電話が入る。
今日は久しぶりに若頭にスナックに呼ばれている。
「どうや、記憶は戻ったか?」
「記憶は相変わらずですが、事実は積み重なってきました」
いつものようにママと3人だと思っていたら金融ブローカーのやっさんも同席している。
「まず仕事の話だ」
ファイルを3束出してきてやっさんが説明する。どれもITMファイナンスのものだ。1時間ほど彼が説明して私が質問する。若頭は時々メモを取る。ママはゆっくり寿司を大皿に並べる。どうやらやっさんの持込案件のようだ。
「合わせて23億ですね?」
「すべて6カ月短期勝負や」
若頭は長期案件はめったに手を出さない。最後のファイルを睨んでいると、
「それは金額が大きいか?」
それは15億の兄貴の組長の囲み地だ。確かに若頭の最高実績は17億だ。
「金額もあるので即答はできません。それとこの案件の真ん中のビルは親父さんの息子に貸しています」
「それも分かっている。値段は指値してくれ。お互いにギブアンドテイクでいいさ。この先の売り先は彼の力ではどうにもならん」
どうも紐付きのようだ。
「ところでなあ。横浜の経済やくざの失態が関西にも影を落としているわ。武闘派が元気を出してきた」
笑いながら言っているが目は笑っていない。
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