歪める 4
「明日7時にいつものホテルに来てとカオルねいさんから電話があった。泊まってきてもいいよ」
とサエに言われて頷いて事務所に向かった。どうも刑事が張り付いているような気がする。それで姉さんに言ってミナミの集金をして直帰を伝えた。そこからタクシーに乗って路地を何度も迂回してもらってホテルに入った。カウンターに行くと奥から支配人が出てきて部屋を教えてくれる。
カオルは風呂を上がってきて取り寄せた寿司にビールを飲んでいる。少しやつれたような気がする。
「修司も飲む?後でたっぷり可愛がって」
「今回は頭取の指示?」
「ええ。でも検察も馬鹿じゃないわ。私ができることはこのくらい。サングラスのやくざ、殺されるかもしれないわ。頭取が親分と話をしてた。検察で架空口座の話出たでしょう?」
「ああ」
「12億ほど残っていたのよ。それを親分が回収した。頭取の同意でね。元々頭取の持っていた口座なの。頭取を脅して口座はそのまま抜けてるね」
「検察はNを気にしている」
「そうね。でも寝たのは私だけど、詳しい話は知らない。伊藤の言うのには頭取に渡した半分の大半はNに流れていると聞いた。それを運んでいたのは修司よ。修司がその口座とビデオを持っていると今でも頭取は思っている」
「じゃあ殺しに来るか?」
「それはない。修司の記憶は戻っていると思っている。と言うことは殺して済む相手ではないと思っている。頭取は修司を買っているのよ」
カオルは肌けたバスタオルにょっきり反り返ったものをしごいている。
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