戸惑い 2
「迷惑をかけてすいません」
ソファに座っている親分に頭を下げる。いつの間にか姉さんとも普通に会話を交わしている。
「ねえ、あのカノンが殺されたと聞いている?」
姉さんが興味半分に大衆誌を買っていてみせる。驚いた風をしてページを開く。親分はステッキで歩けるまでになったので公園に人夫出しに出かける。私の机に休んでいる間に新規で貸付したのと完済したもののファイルが積み上げられている。
「そこにここのカラオケバーのことが書いてあるの。出産した子供はその店の常連だったそうよ」
イサムの名前はさすがに出ていない。
「カノン結構際どいことしてたけど、本番はしてなかったと思うけど。私も2度ホテルに誘ったけど私では子供できないものね」
「姉さんは男には興味がないからな」
何の気なしのページを繰っていたら、地元の博多の中州に『白薔薇』が来ると言う記事が出ていて、カオルの大写しの写真が出ている。購入予定のビルはITMファイナンスの不良物件で任意競売で手に入れたとある。これがマネージャーが言っていた店舗展開らしい。
「私男だめだけど、このママなら抱きたいわ。でもこういう男女はあれが細いって言うけど?」
姉さんはこういう話になると際限がない。私は自分より立派なカオルのものを思い浮かべてしまっている。ここで口を滑らしたら。ふと思いついた。
「実はサエとやっちまって」
「異母兄妹って言ってたよね!」
「血は繋がっていない」
「イサムはとんでもない男よね」
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