鏡の向こう 6

「彼女ばれたと言っていたよ」

 車に乗り込むと隣のカオルが笑っている。今日は運転手は年配のマネージャーだ。

「彼女ちいママなの。まだ22歳だけれどやり手よ。小さいと言われてしょげていた。サエと同じくらいかな。サエは20歳というけど、まだ18歳にもなってないと思う。寂しい?」

「電話を止められているからな」

「頭取と話がまとまるまで今の情報を流されたくないから辛抱してね」

 部屋の電話の線が外されている。

「昨日は?」

「久しぶりに頭取と寝た。あれから私の部屋には泊まらない。いつも鎌倉の別荘まで行くの。用心深くなっているわ」

「伊藤は?」

「やはり修司から証拠を貰ったというのは嘘ね」

「どうなる?」

「それは頭取と関東の親分が決める。今日は私達が着くまでにある人と会っている。別荘が近くにあるの」

「それはNか?」

「USBをかなり見たようね。そうNです。まだマスコミは頭取とNの関係までたどり着いていない。その前に手を打つ気よ」

「まさか罠に?」

「修司を罠にはめるならこんなに苦労しないよ」

「ママは真剣です」

 バックミラーにマネージャーの厳しい目が映っている。








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