鏡の向こう 5

 その日私は一人車で帰された。何のための演技だったのか理解が出来ない。部屋に戻ると時間が知らされていたのかテーブルに早い夕食の準備が出来ていた。ビールの小瓶を抜いて夕食を摘まみながらパソコンを開く。ふと指を止める。これは私の覚書のような日誌らしい。第2課長になってから記録が始まっている。すべてイニシャルで記入されている。カオルはKだ。伊藤はIだ。それから頻繁に出てくるのはTの頭取だ。

 最初はTからIを紹介されている。頭取になるまでは伊藤が一番の部下のようだった。伊藤から半年ほど細かい引継ぎをされている。結構頻繁に伊藤に連れられてあちこちの店に飲みに出かけている。

「面白い女を紹介してやる」

と言われて初めてKの店に来ている。私は想像で頭取の連絡係でカオルに会ったと思っていたが、実は頭取にKを紹介されたことはなかった。

「俺の元カノ今は頭取の彼女だよ。ただ俺より立派なものを持っているさ」

 余程印象に残っていたのかその時の言葉を書いたようだ。忠実に記録するタイプだったのか。それから私は頭取に隠れてこの店で飲んでいたようだ。Kに睡眠薬を入れられたとある。どうもカオルからちょっとした遊び感覚で仕掛けられたようだ。それが互いに舞い上がってしまった。

 それからNがTから紹介されている。Nとは誰だろう。

 いつの間にか瓶が5本も空いてしまっている。ベットルームに移ってすぐ睡魔に襲われた。真っ暗な部屋の中にドアの開く音がした。食事を下げに来たのだろうとまた目を瞑る。次の瞬間パジャマのズボンを下げらっれて口に含まれている。

「戻って来たのか?」

と言いながらカオルのものを含む。

「細い!」

「やっぱりだめか!」








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る