向き合う 3
「乗ってください」
あの初老の男が車から顔を出した。やはりなぜか迎えに来るだろうと思った。姉さんに手を上げて車に乗り組む。カオルはサエを何かの意図があって呼び出したと思う。無言の時間が過ぎて元ラブホテルの建物の中に車がゆっくりと入る。ボーイが立っていてエレベータの最上階のボタンを押す。
「来てくれたのね」
エレベーターのドアが開くと向こう側の部屋の扉も開いて純白のドレスを着た『白薔薇』のママが椅子に掛けている。
「サエが来ているはずだ」
「ええ、昨日は泊まってもらったわ。今は疲れて休んでいる。起きるまで少し昔のように飲まない?」
「サエを人質に?」
「そう言えばそうなるかも。でも彼女と引き換えなんて卑怯なことは考えてない。修司はビールだったね?」
冷蔵庫から小瓶を2本取り出して抜く。それをそのままごくごく飲む。
「これが修司の飲み方。覚えている?おととい頭取がここに泊まった。それで話をつけたの」
「修司は記憶を失っていない。もし今後サエに手を出したら公表すると修司に脅されたと言った。頭取は私が監視することで話は成立した。でも修司は私と約束しないとこの契約は成立しない。それにそれを破ったらサエを殺す。もちろん修司がサエと別れるというならまた別の契約がいるわ」
「サエとは別れない。君の契約とは?」
「昔通りに時々サエも入れて一晩暮らすのよ」
「それは私一人では決められない」
「彼女のOKは取ってるのよ」
「抱いたのか?」
「もちろん。立派なあれがついてたわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます