登場 7
さっそくサエに聞いてみた。どうも『白薔薇』の名前で衣装を依頼してきたという。『白薔薇』のママが直接持ってきたようだ。
今日は難波の中華料理の個室に呼ばれた。どうもここは『白薔薇』の店のほん近くなので、どこかでママが見ているような気がする。
「実は隠し撮りのビデオにとんでもないものが写っていたのです。それに初めて気づいたのは伊藤でしたが、それまでに『白薔薇』のママが伊藤のブランディに薬を盛ったのです」
「敵対したわけ?」
「ええ、でも頭取はあなたと別れることも条件に入れていたのです。もちろんあなたは左遷の予定でした」
「裏切った訳だから仕方がないのでしょう」
「それでママはあなたを誘き出してママの部屋に軟禁したのです。でもママはそこで慌てたのです。まさか頭取があの第2課長にガス栓をひねらせたのです。ママは別れるという条件で受けたのにと慌てたのです」
「でも私は殺されると慌てた」
「そうです。あなたは隠しカメラを鞄に入れてもう一つメモ書きの入った通帳も持ち出したのです。これは元々あなたが管理していた裏金の通帳です」
「隠しカメラには?」
「ママが寝た総理が写っていました」
マネージャがそれだけ言うとカーテンの中に消える。
「私は持ちものでした」
ゆっくりママが現れてマネージャの席に掛けて新しいグラスにビールを注ぎます。
「私は今は頭取を愛しています。彼もあなたを逃がしたことは許してくれています。でも私の中ではまだ解決していません。だからここに来ました」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます