登場 2

 親分を事務所まで送って戻ってくると、先程の年配の男が後ろから紙切れを渡す。なぜか体が吸い寄せられるように後ろのタクシーに乗り込んでしまっている。無言のまま20分ほど走ってホテルの中の入ってゆく。部屋の前で送るとチャイムだけ鳴らして下がっていく。

 ドアは鍵が外されている。ベットに足を組んで座っている。

「やはり大阪にいるというのは本当だっだのね」

「記憶がない」

「関東のやくざに車ではねられたようね。でも罠かもしれない」

 と言うなり立ち上がってじろじろと私を見る。彼女は素早く私のズボンを下げて口に含んでいる。見る見る大きくなった私のものを喉まで銜え込んでは絞り出すようにしゃぶる。この快感は体の記憶に残っている。サエの口に出すと同じ感覚が走る。ママは立ち上がると口からこぼれてくる白濁の液を飲み込んだ。

「修司ね。あなたの精液は昔から変わらないわ。でも本当に何も覚えてないの?」

「ああ」

「あなたは私からも逃げた。いえ、誰からも逃げた。と言っても分からないでしょうね。でもあの時だったら私もそうしたと思う」

「今伊藤に狙われている」

「始めは伊藤があなたを抱き込もうとした。で頭取が慌てて私を使ってあなたを軟禁した。確かにその時の頭取には殺意があったわ。でもさらに私が軟禁場所を変えた」

「理解できない」

「そうでしょうね。しばらく時間ちょうだい。話をしてみる」

「誰と?」

「頭取よ。彼はもう前の彼ではないわ。腹をくくっている。心配ならまた逃げてもいい」

「いや、もう逃げたくない」











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