過去に触れる 4

 昨夜はサエが蒲団のもぐりこんできて始めて電灯の下でピンと立った乳首を吸った。でもセックスに入る前に拒まれた。仕方なく朝まで抱いて眠った。

 最近は月給になったので手持ちの金が心細くなってきている。でも集金も一人でするようになって、鞄の中にボンから貰った週刊誌を持ち歩いて休憩時に読んでいる。ITMファイナンスには裏にS銀行が絡んでいるらしいのが見えてきた。どうもITMファイナンスの総融資量の6000憶の50%がS銀行系が占めていると週刊誌が書いている。どこに自分がいたのだろうか。

「部長?」

 小頭が手招きで呼ぶ。

「面白いのを見せてやる」

 そう言って組事務所の裏の階段を上る。

「ここは組長室が見れるようになっている。万が一の監視だ。防音だから気にしなくていいさ」

 組長の前に黒スーツの男が座っている。

「東京の組の幹部らしい。ここに来ていた関東のやくざに指示をしていたようだ」

「組長に怒られないか?」

「いや今回は稼がしてもろたと。イヤホンを挟め聞えるで」

「やっぱりそれらしい男は見つからないのか?」

 男の声だ。

「どういう男なんですか?」

「それは言えん」

「病院と日払いホテルは調べたんですやろ? 他の町にふけたのでは?」

 男は立ち上がって不機嫌そうに出ていく。

「この写真持って行けや」

 組長が手渡す。

 これは私だ。









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