第28話 2019元旦
ここは渋谷のマンションの屋根裏部屋。
「キャア!」
誰かの叫び声が聞こえてくる。
「事件だ! ワン!」
「誰かが助けを求めている! ニャア!」
はたはたと年越しそばを食べて寝ていたケーリーとバーキンは目を覚ました。
「zzz。怪獣ちゃん、カワイイ。zzz。」
しかし栞は熟睡したままだった。
「起きて下さいよ! エルメス様! ワン。」
揺らしても、顔を引っ張っても栞は起きなかった。
「こういう時は、「谷子さんが泣いていますよ!」。ニャア!」
「どこ!? どこ!? 私の怪獣ちゃんを泣かせる不逞の輩は!? もちろんコンクリートに埋められて東京湾に沈められるくらいの覚悟はあるんでしょうね!?」
カワイイ妹の危機に、一瞬で栞は目を覚ました。
「起きた。ワン。」
「どんなもんよ。ニャア。」
バーキンはしてやったりである。
「エルメス様、原宿で明治神宮に向かう人々に車が突撃し、無差別殺人が起こっています。早く助けに行ってください。ワン。」
「あんたたち、私に嘘を吐いて起こしたのね。今年はお年高級ペットフード玉は無しです。おやすみ。」
「そんな!? ニャア。」
再びエルメスは睡眠につこうとベットで横になる。
「いいんですか!? このままだと2020エルメス様降臨祭が開催されませんよ! ワン。」
「2020エルメス様降臨祭が行われないと、谷子さんが悲しまれますよ! ニャア。」
ケーリーとバーキンは栞の痛い所を知っている。
「なにー!? そんなに怪獣ちゃんは私の華々しい降臨祭を楽しみにしているのね!」
カワイイ妹のことになると過剰反応する栞。
「2020エルメス様降臨祭のスペシャルゲストは、ほんのおねえさんの谷子さんですよ。ワン。」
「魔法少女エルメスと、ほんのおねえさんの谷子さんの夢のコラボレーションですよ。ニャア。」
ケーリーとバーキンは悪魔の囁きをする。
「いくぞ! 原宿! あんたたち何をもたもたしてるの! 早く支度しなさい!」
「はい! ワン!」
「エルメス様を釣るなんて、簡単です。ニャア。」
栞は魔法少女として、屋根に上る。
「いでよ! シューティング・スター!」
エルメスの元に流れ星が流れてくる。この流れ星は銀河系最強の魔法使いらしく、乗り物はスターである。魔女がほうきの時代は終わった。
「原宿までレッツ・ゴー! さあ! 魔法少女エルメスの出動よ!」
エルメスたちはシューティング・スターに乗り込み、原宿を目指して移動する。
ここは原宿。自称テロリストの男が自動車で何人も人を引いていた。
「酷い!? 死んでいる人もいるじゃない!? なんとかしなくっちゃ!」
エルメスは銀河系最強の魔法杖ギャラクシー・ロッドを取り出し、お星さまに願う。
「お星さま! 死んだ人が可愛そうなので、奇跡的に意識不明の重体にして下さい! エル・エル・エルメス!」
夜空のお星さまは銀河の守り人の願い事を聞き入れ、死者に星の輝きを宿し命を取り留める。
「さすが! エルメス様! ワン。」
「きっといいことがありますよ! ニャア。」
「そんなに褒められると照れるな。あとでパンケーキを食べて帰りましょう。」
エルメスは褒められると弱い。
「あのアホな車を止めなければ! 電信柱にぶつかって止まれ! エル・エル・エルメス!」
ドカーンと暴走車は電信柱にぶつかって止まった。
「これで一件落着。せっかくだから明治神宮にお参りしよう。」
エルメスたちは明治神宮でお参りをする。
「どうか、2020エルメス様降臨祭が行われますように。ワン。」
「どうか、今回のように人助けをするアニメ化されやすい方向にいきますように。ニャア。」
ケーリーとバーキンも神様に願い事をする。
「どうか、年末ジャンボ10億円当たりますように。どうか年末ジャンボ10億円当たりますように。年末ジャンボ10億円当たりますように。」
エルメスは今年もエルメスのままだった。
つづく。
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