Connection Point

Drift23 紹介

――これから、衝撃的な事実が――


 あの後、ヤツの息の根を止めてギルドに内々に引き渡したが多分ヤツの事を解析するのは不可能だ。


「しかし、アイツは一体何なんでしょう?」

「説明しにくいんだよなぁ。端的にいえば『失敗作』だ」

 仕事が終わって一ヶ月した今日、私らは昼間っからいつもと別の酒場で飲み会してる。

「ですからそれは聞きましたよ……Kさん」

「うーんとな……うーん……私じゃ説明出来ないんだよなぁ。あー『オペレーター』が居ればなぁ」

 チクショー! 私じゃ説明できねぇ! もどかしいな、私は失敗作を失敗作としか考えてないし……

 失敗作……そうヤツらは失敗作だ。いわゆる出来損ないで、私は完成品にして成功作だ。……あ、意外に単純だった。


「あー私は化物だろ? そんで奴らはな、だ。私みたいなのを作ろうとして失敗した奴らさ」

「ええっ! そんな!」

「そうです! ヤツは貴女と似ても似つかない!」

 二人の声が店に響く。目立つ、目立つからやめてくれ。上手いこと客を誤魔化して注意をそらしてから話を始める。

「まぁ落ち着いて。私の世界じゃ『生体兵器』って言うのがあるんだ。んで、その『成功作』が私。『失敗作』はヤツらだ」

「! もしや貴女の様な化物がそちらには何人も?」

「はは、馬鹿言うな。私みたいなのが何人も居たら失敗作共はとっくの昔に全滅してら」

「と、言うと?」

「私は。私の後も前も失敗作だらけ。それに人間って奴らバカ共は分かってて失敗作量産しまくるんだよ」

「り、量産ってどれくらい……」

「ああ、私のいた組織が管理ミスでそこそこデカい街一個失敗作だらけにしちまった」

「なっ!」

「……そんなのまだカワイイ方さ。世界中至る所で他の組織やら何やらが生体兵器の開発やってる。私みたいな成功作はないけどね」

「そんな……」

「しかも人間の奴ら失敗作一体片付けるのにアホみたいな人数使うんだぜ? 毎度毎度な」

「一体何人……」

「それを聞くのかよ、ヴェイン? 失敗作一、ニ体につき数十人さ。死人も割と出るぜ」

 向こう側の事実を淡々と語ってやる。こっち側の奴らには驚く事しかないだろう。だがな、私だってこっち側に驚く事は多い。

 向こう側の生体兵器事情は酷いもんだ。私が化物と認められる生体兵器なんか居やしない。そのクセ人間は自分らの手に余る失敗作ばっか作って戦わせてるか、あるいは処分するかしてるんだ。

 でも孤島のヤツとは燃える戦いができたがな。化物だが半熟だったなぁ……アイツがもっと完成してたなら……っと、いかんいかん、柄にもなく感傷に浸るとこだった。

 ああそんで、ホントにどうしようもない時は何も出来んから私に頼る。それがあの街の一件さ。勿論、他にもあるぞ。


「そういえば、そのおねえさんがいた組織って何です?」

「あー言って無かったな、だ」

「はぁ!? 一体貴女はどんな神経してるんです!?」

「そこに縛られて……ないんですか?」

 あー、カイトの目にはそう映るし、ヴェインがこんな事いうのは自然だ。そりゃ、成功作の私に、なんか制約やら拘束できるモンでもつけて無理やり動かしてるんだと思うだろう。

 それに、そうでないなら何で力があるのに組織の言う事聞いてるのかなんてのも思う筈だ。

「んーっとだな……」

 私の過去、まぁ目立ったところだけ、カイトとヴェインに掻い摘んで話す。

 あの街のでの掃除、極寒の孤島での戦い、裏切り者クソッタレ共へのプレゼント、んで今回の爆発事故……そして、何故私が組織にずっと居るのかって事もな。


「はは、貴女はやっぱり化物だ……」

「凄いです……おねえさん」

 固まっちまうのも無理はないか。


「とりあえず、これで失敗作と私、それから向こう側については多少分かってくれたかい?」

 聞いたら二人共、信じきれてはいない様だが少しは納得してくれた。




「……昔話と向こう側についてはここまで。さて、本題だ。先ず何で失敗作がこっちにいるのか? んで、このについて、だ」








 嫌な事ほど確証は持ちたくないものだ。

 


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