名前から外れる

 人や物に名前があるという壮大なフィクションから

 外れてしまったときのこの切なさ

 自分に名前があるとは思えない

 他人に名前があるとも思えない

 自分の名前を思い出せなくなった老人とは違って

 ぼくはまだ自分の設定を思い出せるが

 少しは似たところがあるのかもしれない

 神は人間を名前で呼ぶのか

 名づけずに呼ぶのか

 知りたいものだ

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