生者の領分

 怒りを感じたとき

 言葉を書く意欲がわいてくる

 きょう、子どもの虐待死の記事を読んでいて

 怒りがわいた

 それならそんな記事の切り抜きを机に並べておけば

 いつも勤勉に書けるのか

 グロテスクな思いつき

 触媒にされる死

 習慣と化した怒り

 なにも変えない怒り

 なにも変わらない怒り

 子どもの死体は怒っているのか、哀しんでいるのか

 もちろん死んでいるだけだ

 怒りは生者の領分で

 死の沈黙には含まれない

 そして死体はひとりぼっち

 死はひとりぼっち

 怒りは遅く

 魂も遅鈍

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