逸脱の領野

 想い出の専横

 記憶の価値

 ふさわしい過去を持ちたい

 人間であるための

 逸脱の領野

 踏み外しの連続

 どこにいるのだろう

 過去が他人の集まりみたいに

 ほつれてバラバラになっていく

 過去を持たない人間は人間ではないという

 記憶偏重主義者の物言い

 わたしは人間か

 肉体的にはそう

 精神における確信について

 その揺らぎについて

 真っ当な反論を知らない

 それは語られない

 記憶は暴力か音楽か

 音楽という暴力なのか

 過去が過去でなくなる前に

 明らかなページを探さなければ

 声なき声に呼ばれる前に

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