I can remember.

 I can remember. Every minute I can remember.


 それはいちばん好きな小説の

 終わり近くに出てくる言葉

 虐殺が行われた収容所で

 日々を生き延びた女性の言葉


 I can remember. Every minute I can remember.


 わたしは思い出せる

 いつでも思い出せる

 それは思い出せるという以上に

 思い出してしまうということだろう

 望もうと望むまいと

 いつでも襲いかかってくる痛みと記憶

 すべて無意味に感じられるような

 いのちを棄てたくなるような

 存在を呪いたくなるような

 魂の隅々まで腐れ落ちるような

 そんな記憶


 I can remember. Every minute I can remember.


 ことあるごとに思い出す

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