正午の記憶

 好きなのは

 夜明け時

 夕まぐれ

 丑の刻

 光の無遠慮な真っ昼間は

 あまり好きだとは思えない

 そう感じているはずなのに

 ときどき昼間が愛おしくなる

 風に揺れているカーテンだったり

 陽光にまどろむ猫だったり

 ひと息つくためのコーヒーだったり

 昼間は昼間の優しさがある

 なぜそれを

 いたずらに拒んでしまうのか

 白昼への不信感は

 いかなる蹉跌さてつが用意したものか

 答えのささやかな切れ端を

 自分はもちろん知っている

 居場所がどこにも見当たらなかった

 痛みに満ちていた正午の記憶

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