忘れてしまった詩
きょうの昼間
詩を思いついた
夜に書こうと思った
いまは夜
昼間に思いついた詩を
まったく思い出せない
思いついたという事実しか思い出せない
詩が逃げてしまった
飛び去ってしまった
自分のなかでは
それなりにいい詩だったのに
もう二度と思い出せないのだろうか
少し惜しい気がする
そして忘れた詩のついでに
いままでに忘れてしまった
もう二度と思い出せなくなった大切な記憶を
もう二度と思い出せなくなった過去のすべてを
少しどころではない痛切さで惜しんで
日々が抹消していく瞬間の細部は
もう二度と出会えなくなった詩のように
もう二度と出会えなくなっただれかのように
自分の生から断ち切られてしまったのだろうか
涙を流すほど悔やんだとしても
惜しむことすべてが無意味であるように
それともまた
いつかまた
出会える日もあるのだろうか
生きているかぎりは
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