浮浪者、犯罪者、自殺者

 ずっと死にたかったけど

 ずっと死にたさが抽象的だった

 最近はいよいよ切羽詰まってきたのか

 死にたさが具体的になってきた

 触って確かめられるような死にたさ

 死にたい


 どうでもいいや

 どうにもならなければ

 死ねばいいし

 そう考えて人生を舐めきっている人間は

 腐るほどいるような気がする

 自分もその類いの人間なので

 共感を禁じえない

 十代の頃に

 自分の未来を想像してみたら

 浮浪者になるか犯罪者になるか自殺者になるか

 というビジョンしか見えなかった

 とにかくだれとも関わらずにいたかったから

 浮浪者ならまともに話さなくてもよさそうだ

 犯罪者なら独房で一生を過ごせたらいいのにな

 自殺者なら一瞬の苦痛が喉もと過ぎればあとは極楽だ

 なんてのんきに夢みていた

 いまも夢みている

 自分の頭のなかはいまだにお花畑で

 揺れる花弁に埋もれるように

 浮浪者、犯罪者、自殺者が寝転がっている

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