わたしはわたしのわたしを
わたしはわたしの中にわたしがいるということを是認できないようであった
わたしの中にいるわたしはわたしではないと考えなければ耐えがたいようであった
わたしはわたしから最大限の距離をもって離れていたかった
わたしは鏡を見るたびにその像が粉々に砕けてしまえばいいと願わずにはいられなかった
わたしはわたしについて思いをはせることが泥沼でしかないことを理解しながらなおもわたしがわたしであることを許せなかった
わたしはわたしをいつか殺すのはわたしであるはずだと契約したかった
わたしはわたしのいないところで他者からわたしが観測されていることを不気味としか思えなかった
わたしはわたしを感じるたびにわたしを殴り殺してしまいたくなるのだった
わたしを否定するわたしにわたしの記憶を愛惜する権利はなかった
ゆえにわたしはわたしと無関係でありわたしはわたしではなかった
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