選別

 異性が視界に入ると

 無意識に選別していることに

 気づく

 自分勝手な美醜の物差しと

 手前勝手な好悪の天秤で


 “すべて色情をいだきて女を見るものは、既に心のうち姦淫したるなり。もし右の目なんぢを躓かせば、くじいだして棄てよ”


 わが最愛の詩人は

 聖書のこの箴言を

 倒錯したものだと非難していた

 人間は性的渇望を機能としてもっている

 それを得意気にあばき立てるのは

 倫理的な鋭敏さではなく

 病的な鋭敏さでしかないと


 そのとおりだと思う

 ところで自分の気分としては

 他人を選別しているのが気にくわないので

 機能だろうが本能だろうが

 ことごとく破壊してしまいたい

 と

 眼を抉りもせずに

 考えている

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