鳥の映画

 突然すべての鳥が

 人間に襲いかかる

 そんな恐怖映画を

 ヒッチコックが撮っていたな

 眼球をえぐり

 ガラスをぶち破る

 なにかに憑かれたような怪鳥たち


 鳥たちが息をひそめるように

 嵐の前の静けさのように

 夜明けの空を眺めている

 黙示録的なラストシーン

 あの鳥たちの一員に

 自分もなりたいと思ったものだ


 人間たちを無視して

 夜明けの景色だけを見つめて

 なにかを待っている

 御使いの鳥たち


 なぜ鳥は

 まだ人間を生かしているのだろう

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