大つごもり

 年の瀬に

 そろばん勘定で神は大忙し

 さて今年は

 何人の人間が死んだだろう

 何人の人間が

 新しい年を迎えずに眠るだろう

 何人の人間が

 孤独をかこちながらうずくまるだろう


 それとも神は

 数えることなどしないのだろうか

 数字になった死者を否定して

 名前すら覚えずに

 個人を個人たらしめるなにものか核のごときものを

 眼ではない眼で見つめるだけか

 御手で無情に包むだけか


 年の瀬に

 人の動きはざわめいて

 みはるかす

 死者を減らす努力とは無縁の

 数学の苦手な神の大つごもり

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