人間のいない世界

 月日が過ぎ去るようにぼくも過ぎ去れば

 地上は少しだけきれいになる

 人間のいない世界を

 いちどだけ見てみたかった

 これでいつまでも見ていられる

 ぼくもそのときはきっと人間とはいえまい

 人間ではなくなって

 人間のいない世界にいられるなんて

 夢みたいだ

 夢は願えば叶うもの

 死は夢ではない

 それは必ず来てくれる眠り

 だれも目覚めたことのない眠り

 ぼくの一日はいつ終わるのだろう

 何十年も費やした一日が

 終わりを迎えて眠れたら

 人間のいない夢が待っている

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