善意が信じられなくて

 やさしさの底をえぐると

 やさしさではない汚水が

 にじみ出てくることだろう

 そもそもえぐる必要などないのに

 なぜそんなことをしてしまうのか


 疑念が

 絶えずある

 善意を信用できない

 自分のなかの善ですら

 ひたぶるに疑わしい

 いちど砕いてすりつぶして

 ああ本物だったかとやっと確認して

 そのときにはもう

 元には戻せない


 ぼくはこれまでなんど

 信じるべきものを信じられなくて

 自ら砕いてしまったのか

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