夜の枯葉

 闇夜に枯葉が舞っている

 枯葉には死せる魂が宿っている

 秋の残照が葉脈を疾走している

 枯葉については語っても語りつくせない

 語りつくせないことはこの世にあまりにも多い

 たとえば死

 たとえば恋と愛と神と魂

 たとえば三月の風

 たとえば十二月の凍てつく水辺

 たとえば壊れた時計の静止した針

 たとえばバスの窓から眺めた雨模様

 枯葉の話に戻ろう

 いまは夜だが枯葉には夕焼けの匂いが残されている

 枯葉にはいなくなった人たちの哀しみが貼りついている

 枯葉

 黄昏たそがれころも

 わたしがわたしでいなくなったときに

 枯葉はまだ友でいてくれるだろうか

 死にいたる短くも長い旅路を

 寂しい色合いで飾ってくれるだろうか

 枯葉の散り敷かれた薄明の屍山血河しざんけつがを渡りながら

 わたしは惑乱した無表情を浮かべ

 こころだけは守りきることができるだろうか

 枯葉の震えと共鳴したわたしの魂は

 沈黙にくるまれた光をつかみえるだろうか

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