黄泉に沈む

 沈む

 床が沼よりも脆い

 手でつかめる救済がどこにもない

 沈む

 つま先から沈んでいく

 肋骨が隠れたあたりで死が見えてくる

 鼻の下まで浸かりきったところでなにか最期にしゃべりたくなる

 沈む

 沼の底のいい景色

 あくたのたまる黄泉のお祭り

 肉の剥がれたぼくの骨格が

 水底みなそこでぶざまな平泳ぎ

 しばらくは楽しめる冥府の遊泳

 そうして骨さえがもそもそとした粉塵に分解されると

 黄泉の水が

 そのぶんだけ少し濁った

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