喪われた泣き声
枕に詰められた無数の蛇
頭の下でうごめく
夢は結界を持っていなかった
蛇の見守る悪夢でぼくは
泣くことを忘れた現実を
あたりかまわず泣きじゃくっていた
拡声器を泣き顔にあてがって
哀しみを世界に知らしめようと試みたが
声が出ない
涙はとめどなくあふれるのに
声は
ぼくの冷感症の声は
いつのまにかどこかに喪われてしまった
蛇が笑っている
悪夢を見守る蛇が
これみよがしにけたたましく笑っている
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