笑う火葬
笑うのが好きだ
他人が笑っているのも好きだ
でも本当に彼らは笑っているのか
本当にぼくは笑っているのか
可笑しいことなんてなにもないこの世界に生まれて
醜い彫刻のようなぼくの笑い
儚い雪像のような彼らの笑い
葬式は満場の笑みに包まれ
送られる死者は腹を抱えて笑いながら
喜劇的な焔をあげる
哄笑の火葬
嘲笑の火葬
憫笑の火葬
死者はなぜあんなにも笑っているのか
可笑しいことなんてなにもないこの世界に生まれて
炎に包まれて死ぬ人間は
まるでダンスを踊っているようだときく
生命を燃やして踊られるダンス
魂の燃焼作用
そこにこめられているあがきも
怒りも
哀しみも
笑いながら眺める者たちには通じない
観客はなぜあんなにも笑っているのか
可笑しいことなんてなにもないこの世界に生まれて
笑うのが好きだ
笑っていないと死にそうだ
偽物の笑いなんか大嫌いだ
腹の底から笑おう
大口を開けて間抜けに笑おう
黎明も真昼時も夕闇も夜更けも
狂ったように笑って過ごそう
凍った世界を燃え上がらせよう
可笑しいことなんてなにもないこの世界に生まれて
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