自虐詩

 こんなに暗い詩を

 だれが好んで読むのだろう

 ぼくだって読みたくないよ

 こんな陰鬱な言葉の連なり

 しかも無駄に量は多いし

 くだらない思いつきばかりで

 単語の選びもリズムもワンパターン

 モチーフだって死の一点張り

 暗いわりに重みはないし

 そりゃ詩人って名乗るのは自由だけど

 向いてないんじゃないの

 言葉に愛されなかった詩人は哀れだね

 少しは人を喜ばすようなものを書いたらどうなの

 きみがそれほど恋い焦がれてる詩神だけど

 最近すてきな恋人が出来たそうだよ

 きみが終生忘れられなくとも

 向こうはとっくに忘れてるだろうね

 本当に哀れだよ

 そんなに死にたければさっさと死ねば

 自殺者の書いていた詩ということなら

 一部の物好きは読むんじゃないかな

 もちろんきみの言葉に興味があるんじゃなくて

 きみのありふれた悲惨に好奇心がわいただけだよ

 それも二日で忘れられるけどね

 なにせありふれているから

 あの世に行ってからも詩を書くつもり?


 と

 自らに罵倒されながら

 まだ生きているぼくは

 まだこの世で暗い詩を書いていた

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